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相続にまつわる時効について

相続サポート 


 
遺産相続において、法律によって最低限の遺産をもらえる権利の行使(遺留分侵害請求権)や相続する権利を邪魔された場合にそれを回復する権利の行使(相続回復請求権)などが民法により規定されていますが、これらの中に「時効」について規定されているものがあります。(規定されていないものもあります。)
 
保証されている権利も、定められた期間が過ぎ時効が成立すると消滅してしまい、「もらえたはずの財産がもらえなかった。」ということになりかねませんし、その逆に「負わなくもよかった負債(借金)を負わなくてはならなくなった。」ということにもなるかもしれません。

このようにならないためにも相続に関する「時効」についてはしっかりと意識しておく必要があります。
 

 

時効があるものとないもの

相続に係る手続きには、時効があるもととないものがあります。

【時効があるもの】

  • 遺留分侵害請求権
  • 相続回復請求権
  • 相続放棄の手続
  • 相続税の申告

 

【時効がないもの】

  • 遺産分割請求権
  • 不動産の名義変更

 
以下それぞれの項目について詳しく見ていきたいと思います。

 

遺留分侵害請求権

遺留分侵害請求権の時効は「1年」です。

相続の開始を知ったときから1年が過ぎると時効が成立し、この権利は消滅します。

相続の開始を知らない場合でも相続開始の時から10年が過ぎると時効が成立します。

「遺留分」とは、一定の範囲の相続人が受け取ることができる「最低限もらえる遺産」のことです。この遺留分を請求できる権利が「遺留分侵害請求権」です。
 
(ご参照:『遺留分とは』
 

ご参考

(民法1048条)
遺留分侵害額の請求権は、遺留分権利者が相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から一年間行使しないときは、時効によって消滅する。相続開始の時から十年を経過したときも、同様とする。

 

相続回復請求権

相続回復請求権の時効は「5年」です。

相続の開始を知ったときから5年が過ぎると時効が成立し、この権利は消滅します。

相続の開始を知らない場合でも相続開始の時から20年が過ぎると時効が成立します。

相続する権利がないにも関わらず相続権を主張する人を「表見相続人」といいます。

この表見相続人に遺産を侵害された場合に「相続権回復請求権」を行使し相続財産の取り戻しを請求します。
 

ご参考

(民法884条)
相続回復の請求権は、相続人又はその法定代理人が相続権を侵害された事実を知った時から五年間行使しないときは、時効によって消滅する。相続開始の時から二十年を経過したときも、同様とする。

 

相続放棄

相続放棄は、「3カ月」以内にしなければなりません。

相続の開始があったことを知った時から3カ月を過ぎると単純承認したものとみなされ、(原則)相続放棄をすることができなくなります。

この場合、単純承認したものとみなされ、故人の借金などのマイナスの財産を引き継ぐことになります。

法律的にも故人に代わって相続人が返済する義務を負うことになります。

3カ月というのは、あっという間に過ぎていきますので、その間に財産調査をしっかりと行い相続放棄するかどうかの判断をする必要があります。

 
(ご参照:『相続放棄について』
 

ご参考

(民法915条)

  1. 相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。
  2. 相続人は、相続の承認又は放棄をする前に、相続財産の調査をすることができる。

 

相続税の申告

相続税の申告は、相続の開始があったことを知った翌日から「10カ月」以内に提出しなければなりません。
 
相続税の計算をして納税が必要な場合は、10カ月以内に申告及び納税を済まさなければいけません。期限内に申告をしなかったペナルティーとして、追徴課税は当然ですが、その他に相続税の軽減ができる特例が使えなくなることがあります。

特例を使えないことで、相続税の大幅な減額をすることができなくなりますので、税額が大きく変わってくることになります。

 

遺産分割請求権

遺産分割請求権は、文字通り遺産を分割することを請求する権利のことで、この権利には時効はありません。

遺産分割にも「いつまでにしなければならない」という期限が定められていないので、相続の開始となってから数十年間放ったらかしになっているケースもあります。

このような場合でも相続人は他の相続人に対して遺産分割の請求をすることができます。又、遺産分割をしない間に相続人(以下A)が亡くなった場合、Aの相続人(以下B)が遺産分割請求権を相続することになり、Bも遺産分割の請求をすることができます。

 

不動産の名義変更

相続で不動産を引き継ぐ場合、名義を被相続人から自分に変更することになりますが、この手続きには期限が定められていません。

ということは、名義変更をせずにそのまま放置しておいても罰則等のペナルティーはなく、法律的にはなんら問題はありません。
 
ですが、名義変更にかかる費用や手間よりも名義変更をしないことのデメリットの方が大きいので、不動産を相続したときは必ず名義変更することをおすすめします。

 

まとめ

以上、相続にまつわる時効について説明させていただきました。

この時効を知らないと後々大変なことにもなりかねませんので、しっかりと理解しておくことが大切です。

みなとまち行政書士事務所では相続に関するご相談を随時受け付けております。
電話や問合せフォームよりお気軽にお問合せ下さい。

 

【相続手続き】は、みなとまち行政書士事務所にお任せください

みなとまち行政書士事務所では以下のような相続手続きのサポートをさせていただきます。

戸籍の収集をいたします。

相続手続きを進めるにあたって法定相続人を確定する必要があります。
 
法定相続人を確定するために一定の範囲内の親族の戸籍を収集することになります。
 
当事務所がお客様に代わって戸籍の収集並びに「法定相続情報証明書」の作成をいたします。
 
(ご参照:『法定相続情報証明制度について』
戸籍

遺産分割協議書(案)を作成いたします。

相続手続きを進めていく上で、遺言書が残されていない場合、遺産分割協議を行い「遺産分割協議書」を作成する必要があります。
 
この遺産分割協議書(もしくは、遺言書)がないとその後の手続きを進めることができません。
 
ご要望があれば相続人の間に立って遺産分割協議の取りまとめをさせていただきます。
 
(ご参照:『遺産分割協議について』
遺産分割協議書

預貯金の払い戻し等、相続手続きを行います。

遺産分割協議書(もしくは、遺言書)の内容に従って、故人の預貯金の払い戻しのための金融機関での手続きや自動車の名義変更手続きなどを代行いたします。
 
(ご参照:『相続手続きのタイムテーブル』

相続

 

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この記事を書いた人

大阪の行政書士 可児和武の写真
みなとまち行政書士事務所の可児(かに)と申します。

旅行が好きで、ふらっと出かけることもあります。昔は家族でよく出かけていましたが、最近は妻も娘も相手にしてくれなくなったので、一人旅を楽しんでおります。サービスエリアで1人ソフトクリームを食べているおじさんを見たら、たぶんそれはワタシです。