「留学」ビザから「特定活動」への変更について
ビザ(在留資格)申請サポート
日本の大学を卒業した外国人が日本の企業に就職して日本で働く場合、通常は「留学」ビザから「技術・人文知識・国際業務」ビザへ在留資格の変更を行うことになります。
この「技術・人文知識・国際業務」ビザは、許可要件の一つに予定する業務が、大学など(専門学校を含む。)で専攻した科目と関連がなければならないということがあります。
つまり、どんなに高度な学問の分野を専攻していたとしても、その科目と関連する業務でなければ「技術・人文知識・国際業務」ビザは許可されないということです。
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就労系ビザでの在留を目指す場合、「技術・人文知識・国際業務」ビザ以外でも、日本で起業するもしくは役員に就任するなどで「経営・管理」ビザへの変更も考えられますが、こちらはこちらでかなりハードルが高いものとなっています。
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上記のように外国人の留学生が、日本で職を得て引き続いて日本での在留を続けるための選択肢は限られていましたが、平成元年にガイドラインが見直され、一定の要件をクリアする外国人留学生には「特定活動」ビザへの変更が認められることとなりました。
「特定活動」ビザとは
そもそも「特定活動」ビザとは、他の在留資格には該当しない「その他の活動」として設定されたもので、これに該当するものとして、外交官の家事使用人、ワーキングホリデー、医療滞在、看護師などがあります。
「特定活動」ビザは、「法務大臣が個々の外国人について特に活動を指定する在留資格」とされています。
この「特定活動」ビザの告示特定活動(あらかじめ法務大臣によって示されたもの)に「日本語を用いた円滑な意思疎通を要する業務」が加えられ、外国人留学生に新たな在留の道が追加されました。
(ご参照:『在留資格「特定活動」について』)
制度の概要
この制度は、本邦大学卒業者が本邦の公私の機関において、本邦の大学等において修得した広い知識,応用的能力等のほか、留学生としての経験を通じて得た高い日本語能力を活用することを要件として、幅広い業務に従事する活動を認めるものです。
「技術・人文知識・国際業務」の在留資格においては、一般的なサービス業務や製造業務等が主たる活動となるものは認められませんが、本制度においては、上記諸要件が満たされれば,これらの活動も可能です。
ただし、法律上資格を有する方が行うこととされている業務(いわゆる業務独占資格が必要なもの)及び風俗関係業務に従事することは認められません。
(参照元:出入国在留管理庁 留学生の就職支援に係る「特定活動」(本邦大学卒業者)についてのガイドライン)
対象者
この在留資格の対象者は、下記のいずれにも該当する人です。
- 日本の4年生大学の卒業者および大学院を修了した人
- 高い日本語能力を有する人(下記のいずれかに該当)
⑴ 日本語能力試験N1合格者(旧試験制度の1級を含む。)またはBJTビジネス日本語能力テスト480点以上を有する人
⑵ その他、大学または大学院で「日本語」を専攻した人
⑶ 外国の大学・大学院で「日本語」を専攻した人(日本の大学・大学院を卒業・修了している人に限る。)
その他の要件
上記の要件以外にも下記の要件をクリアする必要があります。
- 常勤雇用であること
- 日本人と同等額以上の報酬であること
- 日本語を用いた円滑な意思疎通を要する業務であること
- 素行が不良でないこと
- 入管法に定められた届出等の義務を履行していること
※4および5は在留資格の変更、更新の際に加えられる要件です。
常勤雇用であること
パートタイムやアルバイトでの雇用は対象とはならず、常勤雇用(フルタイム)のみが対象となります。
また、派遣社員として派遣先での就労も対象外となります。
日本人と同等額以上の報酬であること
昇給面を含め、日本人の大卒者・院卒者と同等額以上の報酬である必要があります。
同じ業務に従事する場合の給与相場や、母国での実務経験がある方はその経験が加味された報酬であるかどうかも考慮に入れて報酬額を決定する必要があります。
日本語を用いた円滑な意思疎通を要する業務であること
「日本語を用いた円滑な意思疎通を要する業務であること」とは、単に雇用主等からの作業指示を理解し、自らの作業を行うだけの受動的な業務では足りず、これらに加え「翻訳・通訳」の要素のある業務や、自ら第三者へ働きかける際に必要となる日本語能力が求められ、他者との双方向のコミュニケーションを要する業務であることを意味します。
素行が不良でないこと
週28時間を超えてアルバイトをしていた場合などは素行が善良とはみなされず、審査に不利に働きます。
入管法に定められた届出等の義務を履行していること
在留カードの記載事項に係る届出、在留カードの有効期間更新申請、紛失等による在留カードの再交付申請、在留カードの返納などの義務を果たしていることが必要です。
具体的な活動例
以下、『出入国在留管理庁 留学生の就職支援に係る「特定活動」(本邦大学卒業者)についてのガイドライン』に示された具体的な活動事例です。
従来、就労系の在留資格「技術・人文知識・国際業務」では、認められていなかった単純作業もこの「特定活動」ビザでは行うことができますが、単純作業のみならず、相当程度以上の日本語能力が求められる業務と合わせて行うことが必要とされています。
- 飲食店に採用され,店舗管理業務や通訳を兼ねた接客業務を行うもの(日本人に対する接客を行うことも可能。)。
※ 厨房での皿洗いや清掃にのみ従事することは認められません。
- 工場のラインにおいて,日本人従業員から受けた作業指示を技能実習生や他の外国人従業員に対し外国語で伝達・指導しつつ,自らもラインに入って業務を行うもの。
※ ラインで指示された作業にのみ従事することは認められません。
- 小売店において,仕入れ,商品企画や,通訳を兼ねた接客販売業務を行うもの(日本人に対する接客販売業務を行うことも可能。)。
※ 商品の陳列や店舗の清掃にのみ従事することは認められません。
- ホテルや旅館において,翻訳業務を兼ねた外国語によるホームページの開設,更新作業等の広報業務を行うものや,外国人客への通訳(案内)を兼ねたベルスタッフやドアマンとして接客を行うもの(日本人に対する接客を行うことも可能。)。
※ 客室の清掃にのみ従事することは認められません。
- タクシー会社において,観光客(集客)のための企画・立案や自ら通訳を兼ねた観光案内を行うタクシードライバーとして活動するもの(通常のタクシードライバーとして乗務することも可能。)。
※ 車両の整備や清掃のみに従事することは認められません。
※ タクシーの運転をするためには,別途第二種免許(道路交通法第86条第1項)を取得する必要がありますが,第二種免許は,個人の特定の市場への参入を規制することを目的とするものではないことから,いわゆる業務独占資格には該当しません。- 介護施設において,外国人従業員や技能実習生への指導を行いながら,日本語を用いて介護業務に従事するもの。
※ 施設内の清掃や衣服の洗濯のみに従事することは認められません。
- 食品製造会社において,他の従業員との間で日本語を用いたコミュニケーションを取りながら商品の企画・開発を行いつつ,自らも商品製造ラインに入って作業を行うもの。
※ 単に商品製造ラインに入り,日本語による作業指示を受け,指示された作業にのみ従事することは認められません。
(参照元:出入国在留管理庁 留学生の就職支援に係る「特定活動」(本邦大学卒業者)についてのガイドライン)
必要書類
初回申請時(海外からの呼び寄せもしくは、在留資格の変更)には、以下の書類を用意する必要があります。
- 在留資格認定証明書交付申請書
在留資格変更許可申請書 - 写真(縦4cm×横3cm)
- パスポート提示
- 在留カード提示
- 申請人の活動内容を明らかにする資料(※1)
- 雇用理由書(※2)
- 申請人の学歴を証明する文章(卒業証書のコピーまたは卒業証明書|学位が確認できるもの)
- 申請人に日本語能力を証明する文章(※3)
- 事業内容を明らかにする資料(※4)
- 課税証明書および納税証明書(※5)
※1 「申請人の活動内容を明らかにする資料」について
申請人に交付される労働契約書などの労働条件を明示するもの
※2 「雇用理由書」について
雇用理由書についてはこちらをご参照ください。(『』)
※3 「申請人に日本語能力を証明する文章」とは
日本語能力試験N1またはBJTビジネス日本語テスト480点以上の成績証明書のコピー。
外国の大学で日本語を専攻した人は、その大学の卒業証明書のコピーまたは卒業証明書(学部・学科・研究科等が記載されたもの)。
※4 「事業内容を明らかにする資料」とは
下記のいずれかの資料
ア 会社案内(沿革、役員、組織、事業内容、主取引先(取引実績を含む。)などが記載されたもの
イ 上記に準ずる文章
ウ 会社のホームページの写し
エ 登記事項証明書
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期間更新の際は、以下の書類を用意する必要があります。
- 在留期間更新許可申請書
- 写真(縦4cm×横3cm)
- パスポート提示
- 在留カード提示
- 課税証明書および納税証明書(※5)
配偶者・子について
この在留資格を得た人の配偶者や子どもも「特定活動」の在留資格を得ることで、一緒に在留することができます。
以下、申請に際して用意する書類です。
- 在留資格認定証明書交付申請書
在留資格変更許可申請書
在留期間更新許可申請書 - 写真(縦4cm×横3cm)
- パスポート提示
- 在留カード提示
- 扶養者との身分関係を証明する書類(※1)
- 扶養者の在留カードもしくはパスポートのコピー、または住民票
- 扶養者の職業および収入を証明する書類(※2)
※1「扶養者との身分関係を証明する書類」について
次のいずれかの書類
・戸籍謄本
・結婚届受理証明書
・結婚証明書
・出生証明書
※2「扶養者の職業および収入を証明する書類」について
次のいずれかの書類
・在職証明書
・課税証明書および納税証明書
・(証明書が取得できない期間は)源泉徴収票および期間の給与明細のコピー、賃金台帳のコピーなど
まとめ
- ✔ 「留学」ビザから「特定活動」ビザへの変更が可能となりました。
- ✔ 要件は主に大学を卒業していること/高度な日本語能力を有していることです。
- ✔ 配偶者や子どもも一緒に在留可能です。
みなとまち行政書士事務所のビザ取得サポートサービス
みなとまち行政書士事務所は、コンサルティングから書類作成はもちろん、入国管理局への申請までサポートさせていただきます。
サービス内容
- ビザ(在留資格)取得に関するコンサルティング
- 入国管理局へ提出する書類の収集
- 入国管理局へ提出する書類の作成
- 入国管理局へ申請
- 結果受領に至るまでのサポート
費用
サポートの流れ
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1.お問い合わせ
電話(06-4305-7395)や、お問合せフォーム(こちら)からお問い合わせください。
些細なことでもお気軽にお尋ねください。
ビザ取得の可能性が極端に低い場合などは理由をご説明します。 -
2.面接 / 見積
ご依頼を検討いただける場合、資料などを拝見し、更に細かくお話をお聞きさせていただくべく面談をさせていただきます。
また、費用やサポート内容についてもご説明させていただきます。 -
3.ご依頼の確定
サポート内容や費用等の条件にご納得いただければ、ご依頼を確定することを申し付けください。
着手金をお支払いいただきまして、正式なご依頼とさせていただきます。 -
4.書類の収集・作成
メール等でヒアリングをさせていただきながら、当事務所が作成または取得できる書類は代行して手配いたします。
お客様で準備、作成していただく必要がある書類はご協力をしていただきます。 -
5.申請
入国管理局へ申請します。申請後は速やかに申請日と受理番号をお知らせします。
後日、入国管理局から追加資料や事情説明などが求められる場合がありますが、その際はご連絡の上で速やかに対応します。
審査の進捗状況なども適宜確認、ご報告いたします。 -
6.残金のご入金
申請のタイミングで残りの費用をお支払いいただきます。
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6.許可・不許可の連絡
入国管理局から許可通知が届き次第、ご連絡いたします。
同時にビザ受領に必要な証印手続きの準備を行い入国管理局に出頭します。
ビザの受領が終わり次第お客様にお渡しします。
この記事を書いた人
みなとまち行政書士事務所の可児(かに)と申します。
旅行が好きで、ふらっと出かけることもあります。昔は家族でよく出かけていましたが、最近は妻も娘も相手にしてくれなくなったので、一人旅を楽しんでおります。サービスエリアで1人ソフトクリームを食べているおじさんを見たら、たぶんそれはワタシです。