帰化した後の戸籍について
帰化申請サポート
日本では、家族集団単位で国民を登録する目的で「戸籍」が用いられています。
以前は東アジアの広い地域で普及していたそうですが、現在では日本を除くと中国と台湾のみで用いられるのみになりました。
日本籍の人は原則、戸籍に記載されていますが、外国籍の方はもとより特別永住者のような日本生まれで、日本に在留する人であっても日本国籍でなければ戸籍には記載されていません。
帰化が許可されると日本国籍になるわけですから戸籍が新たに編製される(作られる)ことになります。
こちらの記事では、帰化にまつわる戸籍についてみていきたいと思います。
帰化許可から戸籍に記載されるまでの流れ
帰化の告示の日から一カ月以内に「帰化届」を住所地を管轄する市町村役場もしくは任意に決めた本籍を管轄する市町村役場に提出します。
帰化届を提出すると自動的に戸籍に記載されることになります。
その後1週間から10日間前後で戸籍の取得が可能になります。
戸籍の役割とは
戸籍には以下の役割があるといわれています。
- 家族関係を明らかにすること
- 身分関係を明らかにすること
- 日本人であることを明らかにすること
戸籍は正式には「戸籍全部事項証明書」という名称で、その人の親は〇〇で、いつどこで生まれて、独身もしくは既婚で、子どのは〇〇で、日本人である、、、というような身分関係を時間的序列にしたがって記録、公証(おおやけに証明)する唯一の公文書というわけです。
戸籍に記載されていること
戸籍には以下の事項が記載されています。
- 氏名
- 出生の年月日
- 戸籍に入つた原因及び年月日
- 実父母の氏名及び実父母との続柄
- 養子であるときは、養親の氏名及び養親との続柄
- 夫婦については、夫又は妻である旨
- 他の戸籍から入つた者については、その戸籍の表示
- その他法務省令で定める事項
そして、帰化した人が初めて登録される際には上記に加え以下の事項が記載されます。
- 帰化日
- 帰化前の国籍
- 帰化前の氏名
戸籍はどのようなときに必要になるのか
では、普段の生活で戸籍が必要になるのはどのような場面でしょうか。
代表的なものは以下の6つの場面です。
- 公正証書遺言を書くとき
- 相続手続を行うとき
- 保険金の請求をするとき
- パスポートの申請をするとき
- 婚姻届を出すとき
- 年金の請求をするとき
公正証書遺言を作成するとき
遺言書を作成するときの方式には主に「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」がありますが、このうち公正証書遺言は公証役場で作成してもらうことになります。この場合に戸籍が必要になります。
戸籍により遺言者の家族関係を確認し、相続人となる人を確定することができるというわけです。
遺言者の家族関係によっては、親の出生が記載されている戸籍を入手する必要がある場合もあります。
相続手続を行うとき
相続手続きの代表的なものに不動産名義の変更と預金名義の変更がありますが、これらを行う場合に戸籍が必要になります。
不動産の名義変更は法務局で、預金の名義変更は銀行で手続きをすることになりますが、その際に故人の家族関係(法定相続人)を明確に示すために戸籍の提出を求められます。(ケースに応じて遺言書や遺産分割協議書、住民票の提出も併せて求められることになります。)
保険金の請求をするとき
死亡保険金を請求する際に戸籍を提出する必要があります。
戸籍により故人(被保険者)と受取人の関係が確認されます。
パスポートの申請をするとき
戸籍はパスポート(旅券)の申請・更新手続きを行うときにも必要となります。
戸籍により「申請人が日本人であること」が証明され、日本国のパスポートを申請することができるというわけです。
婚姻届を提出するとき
結婚して「婚姻届」を提出する際には、同時に戸籍も提出する必要があります。
(ただし、婚姻届の提出先が本籍地を管轄する市町村役場であれば戸籍の提出は不要となります。)
結婚すると新たに2人の戸籍が編製されることになりますが、この戸籍に2人の家族関係や身分関係が記載されます。これらの情報を確認するために従前の戸籍の提出が必要になるというわけです。
ちなみに、片方が外国人の場合は、日本人が筆頭者として戸籍が編製され、外国人配偶者は氏名、生年月日、国籍のみが記載されるのみとなります。
年金の請求をするとき
年金の請求をするときにも請求者の身分関係を明らかにする必要な場合があり、その際には戸籍の提出が必要になります。
帰化の事実を戸籍から消したい
婚姻届を提出する際に自分の本籍地以外の市町村役場に提出するのであれば戸籍の提出も併せて必要ということは先ほどふれましたが、その際に結婚相手に戸籍を見られ帰化したことが分かってしまうのを避けたい方もおられるのではないでしょう。
このような方のため、戸籍から帰化に係る事項を抹消することができないかをみていきたいと思います。
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結論から先に述べますと、 戸籍から完全に帰化に関する事項を消すことはできません。
しかし、戸籍を一見しただけでは分かりにくくする方法はあります。それが以下によるものです。
- 転籍する
- 戸籍の改製
転籍する
転籍とは、本籍地を別の市町村に移すことです。
転籍すると新しい本籍地で新しい戸籍が編製されることになます。
この新しい戸籍には帰化に関する事項は記載されませんので、その戸籍を一見しただけでは帰化したということは分からないということになります。
ここで注意が必要なことは、父母の氏名は本名が記載されるということです。
父母は外国籍のままで自分だけ帰化したという場合は、父母の氏名は変わりませんので、父母の名前は本名そのままが記載されます。
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また「一見しただけでは」と書きましたが、この意味は、戸籍をさかのぼって収集したときには帰化当時の戸籍にたどり着くことになるため、それを見れば帰化したという事実が分かってしまうということです。
ただ、相続手続きなどの一定の目的がない限り戸籍をさかのぼってまで収集することはないと思われますし、私たち行政書士のような士業のものが業務をする上で行う場合以外に他人の戸籍を取得することはできませんので、あまり気にする必要はないのかもしれません。
戸籍の改製
戸籍の改製とは、法改正によって戸籍を編製し直すことをいいます。
最近では平成6年に改製があり、フォーマットが見直され、縦書きから横書きに変更されました。
この改製が行われると帰化に関する事項は移記されません。
とはいっても、戸籍の改製は個人の意思でどうにかなるものではないので、参考程度にお聞き留めください。
ちなみに現在までに戸籍の改製は、戦前に4回、戦後に2回行われています。
まとめ
帰化後の戸籍について説明させていただきました。
帰化した後、どのように戸籍に登録されるか、その戸籍とはどのような役割でどのような場面で必要になるかが分かっていただけたかと思います、
また、表面上ですが、帰化をした事実を戸籍から消す方法についても説明させていただきました。
みなとまち行政書士事務所の帰化申請サポートサービス
みなとまち行政書士事務所は、コンサルティングから書類作成はもちろん、依頼者に代わって法務局に出頭し書類の確認を受けるなど、最終の申請書の届出までサポートさせていただきます。
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- 法務局へ提出する書類の作成
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お客様で準備、作成していただく必要がある書類はご協力をしていただきます。 -
5.法務局での確認
申請までに2〜3回程度、法務局で書類の確認を受けます。
行政書士が代わって出頭いたします。 -
6.法務局で申請
お客様に法務局まで出頭していただき、申請の受付を行います。
(申請には申請者本人が出向く必要があります。)
また、申請のタイミングで残りの費用をお支払いいただきます。 -
7.面接の連絡
申請から2~3ヵ月後に、法務局から面接日時調整の連絡があります。
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8.面接
予約した日時に法務局に出頭していただき、面接を受けていただきます。
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9.審査
審査には通常9カ月から1年半程度かかります。
この間に事情の変化(転勤や住所の変更など)があれば法務局に連絡してください。 -
10.法務局から連絡
法務局担当官から連絡があり、許可・不許可の結果が通知されます。
この記事を書いた人
みなとまち行政書士事務所の可児(かに)と申します。
旅行が好きで、ふらっと出かけることもあります。昔は家族でよく出かけていましたが、最近は妻も娘も相手にしてくれなくなったので、一人旅を楽しんでおります。サービスエリアで1人ソフトクリームを食べているおじさんを見たら、たぶんそれはワタシです。