電子定款とは
その他の業務
会社を設立登記する際に定款の提出が必要となります。
つまり会社を創るときには、定款の作成が必須条件ということになります。
以前は、定款といえば紙ベースのものでしたが、最近では電子定款の活用も多く見られるようになりました。
こちらのページでは、この電子定款について詳しく見ていきたいと思います。
電子定款とは
電子定款とは紙定款(紙ベースの定款)ではなく、ワード等で作成したものを電子ファイル形式化(PDF化)したものに電子署名をして、公証人の認証を受けた定款のことをいいます。
(定款については詳しくはコチラをご覧ください。)
従来は紙定款のみでしたが、平成14年に定款の電子認証が認められました。
電子定款のメリット・デメリット
電子定款には、紙定款と比べメリットがあるため導入されたわけですが、メリットばがりではなくデメリットも少々あります。
その両方について、見てきたいと思います。
メリット
【印紙税が不要】
電子定款の最大のメリットは、印紙税4万円が不要になることです。
紙ベースで作成する場合は、印紙税法に基づき4万円の費用がかかります。これに対し、電子定款の場合は(課税文書に該当しないという理由で)、印紙税は不要となります。
【製本が不要】
紙定款を作成する場合、パソコンで作成し印刷したものを製本する必要がありました。
電子定款は、この製本する工程が不要となります。
【オンライン申請が可能】
電子定款はオンラインでの申請が可能なため、ペーパーレス化が進む現代において業務効率化が期待できます。
また、データの管理もPC上で行えるため、セキュリティや内部統制の向上にもつながります。
デメリット
【ソフトや機材が必要】
電子定款を作成するためにはそのための機器(電子署名ソフト、ICカードリーダライターなど)が必要となります。
これらを新しく揃える場合、紙の定款作成と同程度のコストがかかることもありますが、すでに機材を持っている場合はデメリットにはなりません。
電子定款の作成手順
STEP1. 定款原案の作成
STEP2. 公証人との事前打ち合わせ
STEP3. 電子文書の作成と電子署名
STEP4. 電子公証のオンライン申請
STEP5. 公証人による電子公証
STEP6. 受取
STEP1.定款原案の作成
電子定款は、(紙ベースの定款と同様)ワード等の文書作成ソフトにより作成します。
定款に記載すべき事項は会社法で定められており、特に「絶対的記載事項」は、一つの項目でも記載されてなければ定款自体が無効となります。
(定款に記載すべき事項についてはコチラをご覧ください。)
STEP2.公証人との事前打ち合わせ
事前に本店所在地(創ろうとする会社の本社の所在地)とする場所を管轄する公証役場に連絡し、担当者と打ち合わせを行います。
電子署名をした後に修正を行うことはできませんので(その場合、最初からやり直すことになります。)、事前の打ち合わせが必要になります。
また、定款の内容に不備がある場合、後に行う設立登記ができなくなる場合がありますので、そうならないためにも定款の内容などについて事前審査を受ける必要があります。
STEP3.電子文書の作成と電子署名
電子文書の認証対象は、PDF形式で保存されたものに限られます。
電子文書のファイルサイズは10メガバイト以下に制限されています。(ファイル名は全角文字の場合は15文字以内、半角文字の場合は31文字以内にしてください。)
電子文書に電子署名を行うには、Adobe Systems社の「Adobe Acrobat(StandardまたはProfessional)」などのソフトウェアを使用する必要があります。また、電子証明書を読み取るためにはカードリーダーが必要です。
電子公証で使用可能な電子証明書は次の通りです。
- 「公的個人認証サービス」(地方公共団体情報システム機構) ← 個人で行う場合はこちらです
- 「商業登記に基づく電子証明書」(電子認証制度を運営する電子認証登記所)
- 「セコムパスポート for G-ID」(セコムトラストシステムズ株式会社)
- 「電子認証サービス(e-Probatio PS2)」(株式会社NTTネオメイト)
(株式会社リーガルおよび日本電子認証株式会社が提供する法人認証カードサービスに対応するICカード格納型電子証明書も利用可能)
STEP4.電子公証のオンライン申請
法務省の「登記・供託オンライン申請システム」「を利用して、事前の打合せをした指定公証人を指名して、嘱託・請求をしてください。
「登記・供託オンライン申請システム」の利用には、申請者情報登録(ユーザー登録)と「申請用総合ソフト」のダウンロードが必要になります。
公証人のうちで電子公証制度に対応できるのは、法務大臣によって指定された「指定公証人」です。
指定公証人が執務する公証役場については、「公証役場一覧」を、また、指定公証人の所属、役場名および氏名については、コチラをご覧ください。
STEP5.公証人による電子公証
公証人は、ウェブ会議により、電子定款または電子私署証書にされた電子署名が嘱託人本人によってされたものであることを確認するとともに、嘱託人の本人確認を行うことによって、電子定款および電子私署証書の認証を行います。
なお、行政書士などの定款作成代理人が嘱託する場合には、嘱託人から、事前に、公証役場に対し、以下のいずれかをする必要があります。
- 発起人等の定款作成代理人に対する電子委任状(電子署名付きのもの)をオンライン送信
- 紙の委任状に印鑑登録証明書を添付して郵送
STEP6.受取
公証人による電子認証の後に「登記・供託オンライン申請システム」を介して、認証済みの電子定款または電子私署証書のデータが嘱託人に送信されます。
そして、申告受理および認証証明書が嘱託人に送付されます。
希望すれば、電子定款を格納した電子媒体(USBメモリー、CD−Rなど)を送付してもらうことも可能です。
まとめ
電子定款は、ペーパーレス化や印紙税の節約などのメリットがありますが、ソフトや機材をそろえる必要がある点は注意が必要です。
手間や費用を抑えたい場合は、私たち行政書士等にに依頼することも選択肢の一つとしてご検討ください。
みなとまち行政書士事務所の定款認証サポートサービス
みなとまち行政書士事務所は、定款の作成、公証役場での認証、受取りまでサポートさせていただきます。
サービス内容
- 定款作成に係るご相談への対応
- 公証役場との打ち合わせ
- 電子定款認証
- 電子定款の受領
- 依頼者へ送付
料金
サポート内容 | 費用 |
定款認証サービス 事務所報酬(当事務所) | 40,000円 |
定款認証手数料(公証役場) | 30,000円~50,000円 (資本金の金額に応じて変動) |
設立登記申請用の謄本手数料(公証役場) | 2,000円程度 |
(公証役場がウェブ会議による認証に対応していない場合) | (大阪府以外の都道府県の公証役場)別途見積り |
※表示金額は消費税及び地方消費税を含んでおりません。
※送付が必要な場合、送料は別途請求させていただきます。
サポートの流れ
-
1.お問い合わせ
電話(06-4305-7395)や、お問合せフォーム(こちら)からお問い合わせください。
些細なことでもお気軽にお尋ねください。 -
2.見積
見積書を提示させていただきます。
-
3.ご依頼の確定
ご依頼いただく場合、料金の前払いをお願いしております。
料金のお支払いをもって、正式なご依頼とさせていただきます。 -
4.書類の収集
メール等でヒアリングをさせていただき、定款の原案を作成いたします。。
-
5.公証人との打ち合わせ
公証人と定款の原案について打ち合わせを行います。修正箇所などがある場合、依頼者様との打ち合わせの後修正を加えます。
-
6.電子定款の認証
インターネットを介して公証人による電子定款の認証を受けます。
-
7.発送
受領した定款をお客様宛に発送いたします。
この記事を書いた人
みなとまち行政書士事務所の可児(かに)と申します。
1年半ぶりに軽いギックリ腰になりました。
いつもなら原因はだいたい分かるのですが、今回は特に思い当たる原因がありません。
単なる加齢でしょうか。
(〇〇についてはコチラをご覧ください。)