【2025年最新】簡易帰化の条件と必要書類・注意点を解説
帰化申請サポート
外国籍から日本国籍への移行を考える方にとって、「簡易帰化」という選択肢があることをご存知でしょうか。
一般的な帰化よりも条件が緩和されるこの制度は、特定の状況にある外国人にとって大きなメリットとなります。
本記事では、この簡易帰化の仕組み、適用条件、必要書類について徹底解説します。
― 目次 ―
一般帰化と簡易帰化の違い
外国籍から日本国籍を取得する方法として「帰化」があります。
通常の帰化(普通帰化)では、「引き続き5年以上日本に住所を有すること」「20歳以上であること」「素行が善良であること」「生計を維持できる資産または技能を有すること」など、国籍法第5条に定められた7つの要件すべてを満たす必要があります。
一方、「簡易帰化」は、日本との特別な関係性に基づいて、これらの要件の一部が緩和または免除される特別な制度です。
名称に「簡易」とありますが、これは手続きが簡単になるわけではなく、帰化の条件が緩和されるという意味です。
簡易帰化の対象となるケースとは?
簡易帰化が適用されるケースは以下のようなものがあります。
- 特別永住者: 在日韓国・朝鮮籍の方など、日本で生まれ育った特別永住者
- 国際結婚のケース: 日本人配偶者がいる外国籍の方
- 日本との血縁関係: 日本人の子や、かつて日本国籍を持っていた方
- 日本生まれの外国籍者: 日本で生まれたが外国籍を持つ方
これらのケースでは、居住期間の短縮や年齢制限の緩和など、通常の帰化よりも条件が緩和されます。
簡易帰化が適用される3つのパターンと9つの条件
簡易帰化の条件は、緩和される要件によって大きく3つのパターンに分類できます。
それぞれのパターン内に具体的な条件があり、合計9つの条件が存在します。
パターン1: 居住条件のみが緩和されるケース
普通帰化では5年以上の居住が必要ですが、以下のケースでは居住条件が短縮されます。
1.元日本人の子で3年以上日本に在住
日本国籍を持っていた方の実子(養子は除く)で、継続して3年以上日本に住んでいる場合が該当します。例えば、日本人家族が海外に移住して外国籍を取得した後、その子が日本に戻って国籍を取得したい場合などです。
2.日本生まれまたは親が日本埋めれで3年以上日本に在住
本人が日本で生まれ、3年以上日本に住んでいる場合、または両親のいずれかが日本で生まれた場合に適用されます。多くの特別永住者(在日韓国・朝鮮籍)の方々がこの条件に該当します。
3.10年以上日本に継続して居住
就労経験の有無にかかわらず、10年以上日本に継続して居住している場合は、居住条件が緩和されます。ただし、生計を維持できることの証明は必要です。
パターン2:居住条件と年齢条件が緩和されるケース
居住期間の短縮に加え、20歳未満でも申請できる条件です。
以下のケースで緩和されます。
1.日本人の配偶者で3年以上日本に居住
日本人と結婚している外国籍の方で、3年以上日本に住んでいる場合、5年の居住要件と20歳以上という年齢要件が緩和されます。
2.日本人と3年以上結婚し、1年以上日本に居住
海外で日本人と結婚した外国籍の方が、結婚後3年が経過し、かつ日本に1年以上住んでいる場合に適用されます。国際遠距離恋愛から結婚に至ったケースなどが典型例です。
パターン3:居住条件、年齢条件、生計条件すべてが緩和されるケース
最も多くの要件が緩和される特別なケースで、以下が該当します。
1.日本人の実子で日本に居住
日本人の子(実子に限る)で日本に住所がある場合、居住期間の制限なく申請可能です。例えば、両親が帰化して日本国籍を取得した後、子供も日本国籍を取得したいケースなどが該当します。
2.日本人の養子で1年以上日本に居住
未成年時に日本人と養子縁組をし、その後1年以上日本に住んでいる場合に適用されます。国際養子縁組のケースなどが該当します。
3.元日本人で日本に居住
以前日本国籍を持っていたが外国籍を取得した方が、再び日本国籍を取得したい場合、日本に住所があれば申請可能です。国際結婚で配偶者の国籍を取得したが、その後離婚し日本に戻ったケースなどが典型例です。
4.日本生まれの無国籍者で3年以上日本に居住
日本で生まれたが、両親の国籍の関係で無国籍となった方で、出生から3年以上日本に住んでいる場合、多くの要件が緩和されます。
簡易帰化の条件に関してはこちらで詳しくまとめていますので、ご覧ください。
簡易帰化について
申請に必要な書類と準備のポイント
簡易帰化の申請には多くの書類が必要です。
ここでは、書類を機能別に分類し、準備のポイントを解説していきます。
申請者自身が作成する基本書類
以下の書類は申請者自身(または法定代理人)が作成する必要があります。
- 帰化許可申請書: 法務局指定の様式で作成(法務局に備え付け)
- 履歴書: 学歴・職歴など詳細な経歴を記載(15歳未満は不要)
- 帰化動機書: 帰化を希望する理由を自筆で記載(パソコン不可)
- 親族関係記載書: 家族構成や親族関係を記載
- 宣誓書: 忠誠の宣誓を含む公式書類
作成のポイント
自筆での記入を求められる書類が多く、日本語で正確に記入する必要があります。
誤字脱字や、訂正が多い場合再提出になる可能性もあるので注意しましょう。
身元・国籍関連書類
現在の国籍や身分関係を証明する書類で、以下が該当します。
- 国籍証明書: 現在の国籍を証明(有効期限に注意)
- パスポートの写し: すべてのパスポート(失効したものも含む)の使用ページ全て
- 出生証明書: 出生地・親などの情報を含む公的証明書
- 婚姻/離婚証明書: 婚姻歴がある場合に必要
- 親族関係証明書: 家族関係を証明する公的書類
準備のポイント
外国語の書類には日本語訳を添付する必要があります。(翻訳者の氏名、住所、日付の記載も必須)
また、原本と写し各1通ずつ用意するようにしましょう。
外国で取得する書類に関しては時間が掛かるため早めに準備をすると安心です。
居住実態証明書類
日本での居住状況を証明する書類で、以下になります。
- 住民票および除住民票: 全履歴が記載されたもの(世帯全員分)
- 在留カードの写し: 表面・裏面両方
- 住居契約書: 賃貸契約書またはマンション・戸建ての登記事項証明書
- 公共料金の支払い証明: 電気・ガス・水道などの支払い履歴
準備のポイント
住所変更履歴が法定居住期間全体をカバーしていることを確認するとともに、同居者がいる場合は世帯全員分の証明が必要になります。
経済状況証明書類
生計維持能力を証明する資料で、給与所得、経営者などで必要書類が違いますので確認していきます。
給与所得者の場合
- 在職証明書
- 給与明細書(直近1ヶ月分)
- 源泉徴収票(直近1年分)
- 課税証明書/納税証明書
事業経営者・自営業の場合
- 事業許可証・免許証
- 確定申告書(直近年分)
- 所得税・住民税の納税証明書
- 事業実態証明(取引先との契約書など)
資産関連書類
- 預貯金通帳のコピー
- 資産証明書(不動産登記など)
- 株式・投資証明
ポイント
安定した収入源があることを証明するために必要な書類で、税金、社会保険料の滞納がないことも重要な審査ポイントになります。
その他必要書類
申請者の状況によっては追加書類が必要となります。
- 運転記録証明書: 運転免許保持者は5年分の記録
- 社会保険関連書類: 健康保険証のコピー、年金納付証明など
- 学歴証明: 最終学歴証明書、在学証明書
- 日本語能力証明: 日本語能力試験の成績証明など
- 戸籍関連書類: 日本人の家族がいる場合の戸籍謄本など
ポイント
個人の状況により必要な書類が異なりますので、事前に相談するようにしましょう。
また、マイナンバーが記載されている書類はマスキング処理が必要になります。
申請が却下となる主な原因とは?
簡易帰化申請が不許可となる主な理由と、事前に取るべき対策を紹介します。
却下の主な理由は下記のようなものになります。
- 素行要件不足
交通事故違反履歴や刑事事件、犯罪歴があると却下される可能性があります。
また、税金や社会保険料の滞納や生活保護受給履歴も不許可に影響します。 - 経済的安定性の欠如
不安定な収入であったり、過度な借金、債務や生活費を賄えない収入水準の場合却下になる可能性があります。 - 日本語能力・文化理解の不足
基本的な日本語コミュニケーションができない、日本社会に適応できていない、地域社会とのかかわりが少ないなどが要件になります。 - 虚偽申告・隠ぺい
申請書類での虚偽申告や重要事実(犯罪歴など)の隠ぺい、架空の住所、勤務先の記載などがあると却下されます。
申請が却下されない為には、上記要件に当てはまらないように生活をして申請書類を準備する必要があります。
例えば、交通ルールを厳守する、税金などは滞納しない、ボランティア活動を行うなどをして素行面での対策ができます。
経済面では安定した職業についたり、適切な貯蓄、家計収支の徹底をするようにしましょう。
自分がこの要件に当てはまっていると感じた場合、専門家に相談することで適切なアドバイスを受けることができますので、活用することをおすすめします。
まとめ
簡易帰化は、日本との特別な関係性を持つ外国籍の方々にとって、普通帰化よりも条件が緩和される重要な制度です。
居住要件、年齢要件、生計要件などが緩和されることで、より早期に日本国籍を取得できる可能性があります。
ただし、「簡易」という名称から誤解されがちですが、申請手続き自体は決して簡単ではありません。
多くの書類準備と厳格な審査が行われます。事前の準備と正確な情報収集が成功の鍵となるでしょう。
日本国籍の取得は人生の重要な決断です。
元の国籍を離脱することによる影響や、日本国籍取得後の権利と義務についても十分に理解した上で、申請を検討することをお勧めします。
成功率を高めるためには、法務局での事前相談を積極的に活用し、必要に応じて専門家のサポートを受けることも検討しましょう。
みなとまち行政書士事務所の帰化申請サポートサービス
みなとまち行政書士事務所は、コンサルティングから書類作成はもちろん、依頼者に代わって法務局に出頭し書類の確認を受けるなど、最終の申請書の届出までサポートさせていただきます。
サービス内容
- 帰化申請に関するコンサルティング
- 法務局へ提出する書類の収集
- 法務局へ提出する書類の作成
- 申請時に法務局へ同行
- 結果受領に至るまでのサポート
費用
サポートの流れ
-
1.お問い合わせ
電話(06-4305-7395)や、お問合せフォーム(こちら)からお問い合わせください。
些細なことでもお気軽にお尋ねください。 -
2.面接 / 見積
ご依頼を検討いただける場合、更に細かくお話をお聞きさせていただくべく面談をさせていただきます。
また、費用やサポート内容についてもご説明させていただきます。 -
3.ご依頼の確定
サポート内容や費用等の条件にご納得いただければ、ご依頼を確定することを申し付けください。
着手金をお支払いいただきまして、正式なご依頼とさせていただきます。 -
4.書類の収集・作成
当事務所が取得できる書類は代行して手配いたします。
お客様で準備、作成していただく必要がある書類はご協力をしていただきます。 -
5.法務局での確認
申請までに2〜3回程度、法務局で書類の確認を受けます。
行政書士が代わって出頭いたします。 -
6.法務局で申請
お客様に法務局まで出頭していただき、申請の受付を行います。
(申請には申請者本人が出向く必要があります。)
また、申請のタイミングで残りの費用をお支払いいただきます。 -
7.面接の連絡
申請から2~3ヵ月後に、法務局から面接日時調整の連絡があります。
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8.面接
予約した日時に法務局に出頭していただき、面接を受けていただきます。
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9.審査
審査には通常9カ月から1年半程度かかります。
この間に事情の変化(転勤や住所の変更など)があれば法務局に連絡してください。 -
10.法務局から連絡
法務局担当官から連絡があり、許可・不許可の結果が通知されます。
この記事を書いた人
経歴紹介
理工系の学部卒業
機械製造メーカーに就職 金型の設計部門に配属
2年半後に、父親の経営する自動車部品メーカーに転職
製造設備のオペレーター、品質管理の責任者を経て代表取締役に就任(39歳のとき)
事業会社を売却、代表取締役退任
行政書士事務所開業、現在に至る